★ Windows 7のWebシステム開発は、IEの方針転換により変化が求められる
Windows XP時代に主流であった「バージョン依存型」は、非推奨となりました。IEはかつて、様々なバージョン特化の作り込みを支援する機能を提供してきましたが、バージョンアップを繰り返す都度、非推奨化と削除を繰り返し、現在の最新のIEでは殆どが動作しなくなりました。
現在は「機能/動作検出型」で開発を行わないと、Webシステムは想定外のリスクに晒されることになります。場合によっては、システムのライフサイクルに致命的な問題を作りこむことになります。
★ Win7のIEの移行対応は、Win9x/WinXPの時ほど簡単にはいかなくなった
古いシステム、具体的にはIE8以下を対象に開発されたWebシステムを、上位のバージョンのIEでも維持させるには、IEの過去のバージョンの動作を再現させる機能「ドキュメントモード」を利用するのが一般的でした。しかし、Win8以上のOSでサポートされるIEから、ドキュメントモードは非推奨になりました。従来のIE6特化・IE8特化型のようなWebシステムは、Win9x→WinXP→Win7とOSのアップデートを繰り返す中で、ドキュメントモードの活用によりスムーズに移行が行えました。しかし、Win7→Win8以上の移行では、これが行えなくなります。
既存資産の移行方法についても、IEの「変化」へ対応していかなくてはいけません。常に最新のレンダリングエンジンを利用してWebシステムが動くよう、開発方法、テストに工夫が必要となります。
★ 上手く変化に対応しないと、サポートされないWin7端末が大量に溢れる
WinXPは12年という、比較的長い期間利用できたクライアントOSでした。Windows Vistaのリリースが遅かったため、WinXPはN+1サポートの恩恵を受け、2年強ほど長く利用することができました。現在、業務系でも多く利用されているWin7は、WinXPからなかなか移行できなかったユーザが移行先OSとして選択したようです。このようなケースでは、発売後に時間をあけてから移行を始めたため、EOLは2020年1月までと、WinXPと比較すると約半分程度のサポート期間しか持てなくなってしまいました。
この短い期間の間に、既存資産も新規の資産も、IEの変更された方針に適応しなければいけません。IE8特化システムやドキュメントモード依存システムを残すと、Win8以上のOSへの移行はほぼ確実に失敗し、結果としてサポートされていないWin7を継続して運用し続けなくてはいけない状況に陥ります。これはユーザ企業にとっても、開発ベンダ側にとっても、最悪の状況です。
本ガイドラインは、この最悪を防ぐために必要な、移行の手法、開発の手法、テストの手法について、MicrosoftやGoogleのドキュメントを元に、国内のSIに特化し汎用的な形でまとめてみました。
2013年は、Windows XP専用端末/Windows XP VMなどを何千台と購入し、コスト・セキュリティの双方で最悪な手段を選択しざる得ないこともあったようです。現場によって、やり方や文化はそれぞれ異なるでしょう。本ガイドラインは、次回やって来る2020年のWindows 7のEOLを無事乗り切り、「正しい方法」でWebシステムが維持されること目指すために、今何をすれば良いのか、ヒントを見つけるきっかけを与えることができればと考えています。