ふろしき.js

インターネットのビジネスとテクノロジーの話をしています

川田 寛(ふろしき)とは?

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1985年生まれ、「Webエンジニア」「事業デベロッパー」の二足の草鞋を履いております。

その昔、はてなダイアリーで「フロントエンド一式ブログ」というのを運営していたのですが、ググラビリティが最低で、壊滅的なネーミングセンスだと知人から酷評されました。せやなって思いました。

いい方法が思いつかず、とりあえずで雑に短縮して「ふろしき.js」に改名したところ、直後に山本一朗のブログに何度か引用され、後に引けないぐらいには知名度が上がりました。周りの人も私のことを「ふろしき」と呼びはじめます。

現職でも、現場からはふろしきと呼ばれています。誰も川田とは呼んでくれません。

変な名前になってしまった!やっちまった…!

…とまぁ後悔もしましたが、さすがに10年近くも呼ばれていると慣れてくるものです。風呂敷でも手ぬぐいでも、好きに呼んでください自然に反応します。

さて、今日の記事のテーマは自己紹介です。私が「仕事でやること」と「やらないこと」を、それぞれ3つずつお伝えすることで、一緒に働きそうな人に即効性がありそうな内容にしてみようかと思います。

ふろしきが仕事でやること

私は仕事には没頭して取り組みたい派の人でして、そのために苦手なこと・嫌いなことを避け、やりたいこと(=やれること)に集中したいと考えています。

ここ最近、私が仕事の中で最も重視していること。それは…

1. インターネットでプラットフォームビジネスをつくること

今から20年前、世界のインターネットブームの先駆け的存在といえる「i-mode」が登場しました。私もそれにどハマりし、毎日着メロを作ってはネットに上げ続けていました。

ある時、私はWWWとPerlを使うとi-modeサイトのようなものが作れることを知りました。サーバーを入手してソースコードを置くと、そこにお客さんが集まってきてですね。私が寝ている間も、サーバーがサービスを運営してくれるんです。これはすごいと感動したものです!

何がすごいのか??
事例を元に説明してみます。

私の父は、神戸で小さな床屋を個人経営しています。

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父は「何があっても店を休んではいけない」と言い続けていました。

父は今年の6月に脳腫瘍の切除手術で10日間ほど入院したのですが、それだけ長期の休みをとったのは、阪神淡路大震災があった1995年以来だそうです。26年も長期休暇をとっていないなんて…!

実はこれって、多くの個人経営のサービス業が陥りがちなんですよね。

長期的に売上を伸ばす上で、顧客のLTV(顧客生涯価値)を上げる事が重要視されることがあります。床屋も含め様々なサービス業が、LTVを下げないようにするための最善の方法は「店を休まないこと」だったりします。

その理由は、以下の構造上の問題が発端になっています。

  1. 自身が働くことで、顧客はサービスを受けられる(→ 店が休みだと顧客は離脱してしまう)
  2. 競合が生まれやすく、顧客は他のサービスを選べる(→ 顧客は別のサービスへ行ってそのまま戻らない)

これらの2つの条件を変えてみるとどうでしょう?

  1. 他者に働いてもらうことで、顧客はサービスを受けられる(→ プラットフォーム型ビジネス
  2. 競合が参入しにくく、他の選択肢はない(→ 関所型ビジネス

完璧なビジネスへと姿を変えましたね!インターネットは、これらの2つをとても効率的に実現させます。だからこそ「すごい!!!」って私は思うわけですね。

インターネットは、プラットフォームを作りたいという欲求に取り憑かれた人々を、沼のようにハマらせる魅力を秘めています。

私もその一人です。

i-modeに触れてから18年ほど経った今でも、当時と何も変わらずインターネットでプラットフォームを作っています。プラットフォームの事業化が私の主な活動領域です。

現職のピクシブでは、EC・ソフトウェアツール・ソーシャルメディアに関わってきました。事業部長及びマネージャーとして私が関わってきたプロジェクトとしては…

  • ドローツール事業: Microsoft社連携、PFN社と連携(自動着色ツール)
  • 3D制作ツール事業: VRoid Studio, Hub, SDK, Mobileのリリース
  • マイクロブログ事業: Mastodon「Pawoo」をリリース
  • ギフティング事業: pixiv Sketchエールのリリース
  • ネットイベント: pixiv ONE、Draw Fest. などの実施

www.youtube.com

と、とにかく立ち上げが多く、周りからも「ネットで新規事業を作っている人」という印象を持たれています。


2. 海外のシェア獲得を狙うこと

2004〜5年頃、カナダのオンタリオ州に住んでいた時、現地の友人は私が持っている電子デバイスに興味津々でした。そのイヤホンは何製なのか?そのプレイヤーは品質が高いのか?とか、質問攻めにあったものです。

残念なことに、日本製が無条件でもてはやされる時代は終わってしまい、製品の主導権の多くは他の国と地域に奪われてしまいました。しかし、昔も今も変わらず関心をもたれる分野もあります。それは、車と「アニメ」です。

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16年前も今も、海外に行くとまったく何も変わらず、むしろ以前より多くの人からアニメに対するリスペクトを感じ取ることができます。日本人である自分が思っている以上に、アニメは人々の心を掴んでいるということに気が付きます。

ご年配の方からしたら、アニメを観るなんてダサい、気持ち悪いという印象を抱くのかもしれません。なんなら30代の世代でさえも、多くの人は嫌悪感を持っているんじゃないでしょうか。

実は、コンピューターを触る人も昔は同じ印象だったんですね。マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツは、こんな格言を残しました。

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「オタクには親切に。あなたたちは、いつか、彼らの下で働くことになるでしょうから。」

アニメでそれと同じようなことが起きつつあると私は思っています

かつては、農業よりも電気・ガスのような産業を重要視され、後には手紙や電話のような通信インフラが重要視され、現在はGAFAMのようなコンピューター産業が重要視されています。世界の生活水準が上がるにつれ、生きるためにMUSTではない要素ほど、高い価値を感じる状況へと変わっていったんですね。

その次はどこか?私はコンテンツだと思っています。時価総額ランキングの上位も、今のようなコンピューター産業ではなくて、コンテンツ産業の企業が支配する時代が、すぐそこまで迫ってきていると私は思うのです。

せっかく一度しかない人生なのだから、私は日本発で世界で勝つことを目指して仕事をしたいと考えてしまいます。だから、次に産業価値の変化が起きたときに、世界で覇権を狙える日本のサブカルチャーに賭けてみたいと思ったのです。

特にここ数年は、サービスの海外進出に尽力してきました。ピクシブのマネージャーという立場で行ってきたものとしては…

  • 海外マーケティング: 海外向け商材(Influencer Marketing)の開発
  • プロダクト改善推進: 翻訳チーム、及びリサーチ体制づくり
  • リーガル: 法務部の立ち上げ
  • コンテンツ制作: 海外向け記事編集体制、及びIPリレーション体制づくり

と、サービスの海外展開に関わることへ広く扱ってきました。エンジニアをベースにキャリアを積んできた私として、ここまで技術的ではない分野へどっぷりと浸かったのは社会人人生の中で初めてでした。


3. Webのオープンな技術を活用すること

2009年にNTTコムウェア株式会社へ新卒入社したのですが、配属されたのはオープンソースソフトウェア推進部という研究開発系の部署でした。

そこでは、ソフトウェアのデリバリを一社が全て担うのではなく、オープンに複数の個人・企業が関わりみんなでデリバリしていこうという、まさしくソフトウェア開発のプラットフォーム化(→オープンソースソフトウェア)という考え方を世の中に推進していました。

エンジニアとしてキャリアをスタートした私は、様々な技術に手を出してはみましたが、最終的にはWWW・Web(HTML5)というオープン技術に注力するようになりました。技術を支えるコミュニティへの貢献活動に没頭するようになり…

  • 技術イベント支援: Developpers Summit 2014 2015 / HTML5 Conference 2017 2018
  • 登壇: Developpers Summit 2013s 2014s 2015w / Android Bazaar and Conference 2014 / HTML5 Conference 2013 2014 2015 2016 / RubyKaigi 2018
  • 執筆: Software Design 2014.05 2014.06 2014.07 / 日経Systems 2015.01
  • 教育支援: HTML5認定試験(LPI-Japan)

enterprisezine.jphtml5experts.jp

と、毎月雑誌の記事執筆の〆切に追われながら、技術イベントの手伝いに走り回るという、充実した20代を過ごしました。Microsoft MVPも2014年から3年ほど受賞して、現CEOサティア・ナデラに生で会えたのも良い思い出です。

私が憧れていたNTTドコモ・旧i-mode部門へ技術コンサルとして関われる機会が得られたり…!まだ当時はそこまで多くなかった、NTTからネット業界(ピクシブ)への転職を果たせたり…!

本当にたくさんのきっかけを、技術コミュニティが作ってくれました。社会人として12年経った今も、私のキャリアの根幹を支えています。

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技術を軸にして人々が集まり、それが生活を変え、ビジネスが芽吹いていく。インターネット業界は、このようにして回っていると私は捉えています。サービスを扱う会社は、技術とその組織を健全に運用していくことが大切なことです。

ピクシブでは、執行役員CCO(Chief Culture Officer)、子会社役員、エンジニアリングマネージャー、テックリードなど、会社の状況に応じて色んな肩書がついてきました。

それぞれの肩書に色んな期待が込められてはいますが、私自身はというと、それでスタンスを大きく変えてこなかったように思います。一貫して、エンジニア組織の最善なあり方について模索しつづけてきました。

その答えは、「◯◯を導入しよう」だとか「□□というルールを取り入れよう」だとか、そういう小難しいことを考えることではないと私は思うのです。マネジメントの範疇に生じる課題の多くは、人材の能力により解決されることです。

つまり…

「イケてるエンジニアは社内でもイケてると認められて、社外にその存在をしっかりと発信していくこと」そういうシンプルな仕組みを徹底して機能させるだけでいい。それが、インターネット業界のようなオープンな技術が成立する環境において、最も効率的な技術組織の成長プランであると私は考えるわけです。その仮説を立証するために、ピクシブ入社以来ずっと試行を繰り返しています。

プロダクトを作るのは人間であり、その人間がイケていることが重要。昨日よりも今日のほうが、イケている人間が集まっていく構造を作ることが、超合理的なのではって思うわけです。デリバリやアーキテクチャの質の向上は、そういう構造に後からついてくるんじゃないかと。

ただ、こういう抽象性がものすごく高いアプローチというのは、そうそう簡単に上手くいくものではありませんよね…!

言語化して理解を求めることにも、かなりの時間と労力を要しますし。そのゴールに向かう過程においても、思いのほか人がついてこなくなったりもするわけですし。ゴールが遠すぎて、現場側はブレまくります。

ぶっちゃけこの件については、本当にたくさんの失敗を重ねてきましたし、なんなら降格という日本企業ではなかなか起こり得ないショッキングな事件も経験しました!関係各社、他社CTOには多大なるご迷惑をおかけしました…!

ただ、今もなお、私はこの主張がそんなにズレてないと思ってます。

私がやってきたこととしては…

  • 技術力評価: 360度評価(エンジニア同士での相互面談)
  • カンファレンス・スポンサード: RubyKaigi, PHPer Kaigi, HTML5 Conference 他
  • 採用ブランディング: オウンドメディア「pixiv Inside」、不定期勉強会「pixiv Night」、ハッカソン「Code Hammer」、カンファレンス「pixv Meetup」「pixiv tech Salon」「pixiv tech fes.」「pixiv dev meetup 2021」の開催

conference.pixiv.co.jp

と、本当に色んなことを経験させていただきました。最近は新CTOと新VPoEが、このあたりのことをグイグイ引っ張って頂き、孤独な戦いはようやく終わりを迎えようとしています。

私以外の人間が「大事だからやろう」って言ってくれるようになるまで、実に5年の時間がかかりました。入社して2ヶ月目に、RubyKaigi 2015の100万円スポンサー費用の稟議を通すという地獄みたいな案件が走馬灯のように蘇りますね 笑

次に委ねるべきタイミングが、ようやくやってきたというのか…!次同じことをやったら、2年もかからないのだろうなぁとか、そんなことを考えつつ内省します。結果は良くても、過程はあまり格好いいものではなかったかな!みんなゴメン!

ふろしきが仕事でやらないこと

私は仕事には没頭して取り組みたい派の人でして、そのために苦手なこと・嫌いなことに時間を使うことを避けたいと考えています。

今、最も避けたいこととしましては…

1. インターネットではないこと

インターネットにどハマリしているので、今はインターネットを使って面白い世界をつくることだけをやっていたいです。どんな事業の話をもってこられても、「それをネットでどう料理する?」「プラットフォーム化する?」という議論にしてしまいます。


2. 日本だけに展開すること

世界で勝つことだけをやっていたいので、日本のシェアだけをとっても満足できない体になってしまいました。やるなと言われても、世界を見据えた事業計画を作ってしまいます。


3. 技術へのリスペクトを欠いたこと

今やインターネットのビジネスというのは、サービスがとても充実しており、技術が必須であるとはいえないと考えてます。技術ありきで考える必要は不要でしょう。ただし、技術を軸にしてビジネスを考えることから、逃げてはいけないのがインターネット業界であるとも考えています。

「技術の話はよくわからない」「興味が無い」と言われても、理解してもらえるまでしつこく技術の未来の姿を説明し事業を推進しようとします。とにかくしつこいと言われます。

最後に

とあるイベントの登壇が決まって情報を整理したいとか、副業でコンサルの依頼がきたりとか、新しいパートナー会社さんと関わることが増えたりとか、色んなタイミングが混ざった結果、Googleに引っかかりやすいこのブログに、自己紹介だけをするという謎の記事を作ることになりました。

山本一郎さんのブログに何度か引用されて以来、Googleがとっても優しいんです…!ピクシブもちょうど7年目に突入したし、良い経歴整理になったかな?

長くブログを放置していましたが、そろそろ本当に復活させていきたいと思います!最近、頭の中を整理したい欲に飢えている!