ふろしき Blog

コンテンツサービスを科学する株式会社ブートストラップ代表のブログ

元W3Cの中の人と、エンタープライズのビジネスチャンスについて語った話

変化を好まないSIですが、HTML5が開発方法に変化することを求めている。

昨年、私はメディアやカンファレンスなど様々な場所で、その意義について発信してきましたが、「HTML5を使えば"今まで以上"のことができるのだろう」「それなら、あまり関係ない話なのかも」なんて油断していたエンジニアにとっては、「今も変えろ」というのは衝撃的な事件だったに違いありません。

そんな混乱を、W3Cという異なる立ち位置にある組織に所属しながら、ビジネスにできるのではないかと考えた人がいます。

彼と出会ったのは、オープンソースカンファレンス2013/Fall。あまり人前に出たがらないキャラクターなので、名前は伏せておきます。

イベントで会った彼は、凄い熱意でW3Cのイベントに誘ってくるもだから、私の脳はしっかりと彼の顔と名前を刻み込みました。しかし、OSC.Enterprise 2013で再開した時、彼は私のことなどすっかり忘れていました。私も人と会うタイプなので、何度かやらかした経験がります。全く責める気になれません。

2枚目の名刺を渡された時に、彼は一言
「この名刺、前職のものだから渡すべきか悩むんですけどね」

★ W3Cをやめて、エンタープライズ業界に入った

つい2ヶ月前に、あれだけW3Cイベントをゴリ押ししていた彼は、数年務めたW3Cを辞めていました。その名刺は、名前の部分以外は機能していません。

彼は以前より、Web標準技術とアカデミックな場で繋がるのでなく、ビジネスとして繋がりたいという想いを持っていたそうです。知人の誘いを受けて、エンタープライズの世界へやってきたとのこと。中国に依存しない新しいオフショアを支援する、ベンチャー企業に入っていました。

W3Cにいて何を感じたのか

彼は少し前まで勤めていた、W3Cについて語ってくれました。

★ エンタープライズとWeb標準

私はW3Cの議席に、GoogleやMicrosoftなどがちがちのビジネスプレイヤーがいるので、組織の内部はかなりビジネス色の強い場だと思っていました。しかし彼いわく、W3Cは非常にアカデミックな場だそうです。

言われてみれば、UNIXから始まったLinuxの文化、オープンソースの起源は、非常にアカデミックなものだったと本で読んだことがあります。NTT出版の「Linuxはいかにしてビジネスになったか―コミュニティ・アライアンス戦略」だったと思います。5年以上も前に読んだのではっきりは覚えていませんが、オープンテクノロジーは、そういう性質を持ちやすいという特性を持っている。

ただ、Web標準はコモディティ化された技術でありつつも、プラットフォームを取り巻くエコシステムに方向性が左右されるという状況に置かれています。ブラウザなどのプラットフォームを作っているベンダと、共に手を取りビジネスを作っていこうという団体/企業側に、技術進化が最適化されていくという環境に置かれています。

こうした背景もあるのでしょう。彼は「日本のエンタープライズのプレイヤーはもっとWeb標準に関わるべきだ」と語っていました。昔はそいういう企業が多く関わっていたのに、今は殆どいなくなったそうです。日本のSI所属する私の目から見ても、エンジニアたちはブラウザを単なる無料のクライアントプラットフォームと考え、今までもこれまでもずっとこのままだと信じて疑わない雰囲気が感じられます。システムがこれだけWeb標準技術が依存しているのに、進化の動きを制御できない状況にあるのは、果たして安定して長く使えるプラットフォームと言えるのか。

しかし、これも時間の問題だと私は考えています。

今のSIは、Web標準に直接的に関わるメリットがあるようには見えません。ブラウザなどのプラットフォームを開発する側が、エンタープライズに新しい価値を運んでくるのではないかと睨んでいます。なんだかんだで、事件が起こる直前あたりに何かしらのソリューションが生まれて、SIが二次的にWeb標準へ関与するようなモデルになると予想しています。IT業界におけるSIというデカい市場を、無視できないでしょう。

本来オープンテクノロジーはフリーのソフトウェアなんかではなく、オープンなコミュニティとの関わり、貢献によってビジネスが成立させるモデルだったはずです。どこかのタイミングで、何かしらの形で、正常な姿に戻らざる得なくなると考えています。

★ WebStorageがW3C勧告になっていた件について

少し話が変わって、標準化の話に。WebStorageは、IE8から実装されている少し歴史のあるWeb標準ですが、2013年の夏、突如としてW3C勧告化し、私は驚きを隠せませんでした。標準化の動きを追っていれば、突然というわけでもなく、ごくごく普通に正式なプロセスを踏んでいるのは確かです。

ただ、この件について「あまりにも静かだから、若干驚いた。いや、自分の中では結構ニュースだったかも」と彼に伝えた所、「いや、ニュースだと思うよ。あれはW3C側から見ても。」とのこと。

HTML5も2014年にW3C勧告になると、一時期すごく騒がれていました。しかし、これだけエコシステムが発達し、HTML5に強く依存したビジネスを数多く見ていると、W3C勧告化はメディアで目立つこと無く、いつの間にか終わってそうな気がします。

なんとなくそんな空気感を察した私は、技術評論社のSoftware Design 2014年2月号にて「目利きによる業界予測、2014年IT業界はどうなるのか?」という記事を執筆させて頂いた際、「2014年はHTML5が、W3C勧告!W3C勧告!」だなんて派手に騒いだりはしませんでした。一言触れる程度で、ささっと終わらせました。むしろ、そのことに触れなくてもいいんじゃないだろうかとさえ思いました。

「そもそも、今回のHTML5のW3C勧告化って、かなり限定的ですよね・・・」なんて事を彼が言っているのを側で聞いていると、標準化のプロセスより、エコシステム側の動きを追う方が理にかなっているように思えました。きっとこれからは、そういう時代なのでしょう。

★ オープンテクノロジーとMicrosoftの意外な関係

彼は「Microsoftはオープンテクノロジーに対して、下手したら一番ぐらいに貢献しているのではないか」と語っていました。Linuxに多額の出資を行い、オープンソースの発展に大きく関与していたのは、実はMicrosoftだったと。その真偽はわかりませんが、確かにフロントエンドの世界では、jQuery FoundationにSilverlightの開発者をフルタイムで関わらせるなど、Microsoftはその進化に強く関与しています。Web標準も同様にです。Microsoftがいなかったら、Web標準技術の進化は今とは異なる状況だったに違いありません。

ただ、巨人は時間を経ると嫌われる、批判の対象になるというのは、人間の遺伝子に刻まれたものだから仕方がないでしょう。私自身、オープンテクノロジーに関わる者として、不平を言いたくもなります。こうあって欲しいんだけどなぁ、なんてことを思ったりもします。これは別に私だけが特別というものでもなく、ベンダ製品サイドであるMicrosoftと対極に位置してしまっている、オープン技術サイドの思想の課題に思えます。

「あそこまで貢献しているのに、オープン系の世界では嫌われ者になってしまっているMicrosoftは不憫でならない」と、話題の最後に彼はこう締めくくりました。

これは私の主観ですが、サーバサイド側とフロントエンド側とでは、その嫌われ方が少し違うと感じています。フロントエンドは、「ベンダロックインだから嫌い!」と言うよりも、「IE6〜8が技術的に問題を抱えているから嫌い!」という状況に見えます。IE8以下は、Netscape戦争の延長上にある時代のブラウザですから。そんな古い思想のブラウザを、仕事として扱わなくてはいけない人たちからすると不満しか無いでしょう。まぁ実際の所、IE8はMicrosoft自身も暗に厄介者扱いしているように見えますが。

理由はなんであれ、最終的に「不憫」になるあたり、巨人の悩みは永遠に尽きないのでしょう。IEって業務系だと、結構重要な機能を持っているんですが。特にWindows 7系だと、気がつかないうちにその恩恵を受けているケースも多いでしょう。

HTML5が生み出した新しいビジネス価値

嫌われ者で不憫なIEですが、現場的視点からビジネス視点に見方を変えると、結構ポジティブだったりします。

★ やはり、IE11のリリースは大きい

Web標準側の人間だった当時の彼の目から見て「IE11のリリースは衝撃的だった」と語っていました。まさか、W3Cのような全く異なる立ち位置の人間から、そんな言葉が出てくるとは思いもしませんでした。「何が衝撃的だったのだのか?」と私が問うと、まるで答え合わせのように「ドキュメントモードの非推奨」と返ってきます。

「あれはもはや、一つの市場を作ってもおかしくないんじゃないか?」と。まさに昨年末、私がしつこいというレベルで言い続けていたことを、目の前で再現するように説明され、度肝を抜かれました。

今、企業のイントラネットには、Quirksモード/ドキュメントモードに依存したWebシステムが大量に動いてます。Windows 7へのアップグレードで、更に深く依存してしまっているという状況です。それが、Windows 7のアップグレード先のOSでは、サポートされなくなるという状況に陥っています。日本は韓国ほどActiveX依存していませんが、何かしらインパクトがあることは間違いないでしょう。

「Windows 7のEOLの、だいたい1年前ぐらいが稼ぎ時かもですね。あと5年ですか。」なんてことを彼は言っていました。私の考えは少し違います。今の時代のステークホルダの傾向からして、「どのあたりのタイミングでメディアが騒ぐか」の方が重要と考えていたりします。

3年後か、それとも直前か。インターネットメディアの場合、今のところトリガを渡すのはそんなに難しいことでもないので、やはりここでもエコシステム側であるベンダの動きに着目するのが、有利な気がしています。ユーザ企業側がバズワードに反応することも少なくないので、何か新しく言葉を作るかもしれません。

★ スマートデバイスはどうなるのか?

スマートデバイスについて、彼は恐らくWeb標準側の考えだからなのでしょう、ユーザビリティの高い端末とそのデザインが武器になると睨んでいました。対して私は、IT管理者の制御下に置きやすい、セキュリティを制御しやすいことが、より直感的で解りやすいスマートデバイスが出てくると今よりもっと広まるのではないか、と主張しました。システム利用者でなく、ステークホルダ側が重視する点に多くの判断材料を与えることができれば、導入されやすいと考えているからです。ここは意見が割れました。

IE11からスマートデバイス最適化の道に進んだので、Active Directoryに完全対応が進むかもしれないWindows 8.2とか、IE12の進化、ChromeやFirefoxのエンタープライズ向けサービスの多様化に、私はかなり期待しています。今が黎明期なのは、間違いなと感じています。バズワードとしてのHTML5は2013年をピークに下がっていくのでしょうが、エンタープライズでのソリューションの多様化、ビジネス化は、これからと考えています。

★ オフショアの新しい道

本記事の序盤でも述べましたが、彼はベトナムの安い人件費を使って、新しいオフショアサービスを提供するベンチャー企業に勤めています。

カヤックのセブ島の話なんかを見ていると、世の中の流れ的には、もはや中国に道を見つけようという考えはどこにも残されていないという流れです。日本企業のことですから、大連のIT企業をすぐに切ったりはしないでしょうが、これから中国で新しく開拓しようというモチベーションはすっかり失われてしまいました。

つい数年前、オフショアは大連が当たり前で、それこそ発注直前にまで持っていった私にとっては驚きです。もはや脅威です。恐ろしく短い期間でビジネスモデルが崩壊していくのを目の当たりにして、「オフショアはエンタープライズに向いているのか?」なんていう、そもそも論を始めたくなりました。

ただ、日本は昔から海外のリソースに頼る文化があるので、オフショアをビジネスとして成立させれるのか、これからも真剣に取り組まなくてはいけないようにも感じています。彼はこの新しいリソースに、どのようなブランドを持たせていくか悩んでいるようです。今のフロントエンドの特殊性を合わせることで、アイデンティティをもたせようという戦略を、一つの選択として持っているようでした。日本の場合は事例が大切なので、「使ってもらうこと」からスタートしなくてはいけないのですが、きっと彼はあの熱意で、困難を乗り越えていくのでしょう。

彼を、私のコミュニティが運営するイベントに登壇させようという計画があったのですが、色々事情があって無くなってしまいました。当面、彼と会う予定はありません。2ヶ月もしたら、また顔を忘れられているかもしれませんが、それでもきっと旨い酒が飲めると思います。

そのうち、強引にでも登壇させよう!
・・・目立ちたくないって怒られそうですが。

【Interop Tokyo 開催20会記念特別対談】Web of Human, Things and Data(Interop Tokyo まとめその1)

ティム・バーナーズ=リーといえば、WWWの発明者です。彼は今、W3CでWeb技術のディレクションを行う立場にあります。

今回は、2013年6月12日、幕張メッセで開かれたInterop Tokyoにて、ティム・バーナーズ=リー氏と、慶応義塾大学の村井純氏の対談の内容について、私のつたない英語力で意訳した内容を載せようと思います。

【Interop Tokyo 開催20会記念特別対談】Web of Human, Things and Data

ワールドワイドウェブコンソーシアム・ディレクター ティム・バーナーズ=リー
慶応義塾大学 環境情報学部 学部長・教授 村井 純

ティム:
インターネットとWebの違い、これを語るには長い時間が必要だ。今日ここで与えられた時間は、十分でない。このあたりの事情については、この会場にいる皆さんは理解して頂きたい。今日は出来る限りのお話をしようと思うが、足りていないところについては、この後の対談の中で補っていきたいと思う。

まず、インターネットができたのは69年、Webができたのは89年だ。同じではない。89年、当時の文章システムのポータビリティに問題があると感じていた。コンピュータ・システムには相互運用性が無かったのだ。当然、グローバルなハイパーテキストシステムは、当時誰も関心を持たなかった。

しかし、私の上司は、私のアイデアに興味を示してくれた。上司は私に、Webのプログラミングの時間を与えてくれた。サーバもクライアントも全部作った。HTTPとHTMLも作った。その時は今に比べてずっと簡単だったと思う。なぜなら、その開発は誰にもみはられることが無かったからだ。

92年、93年だったか、Webは会社によって、今後の戦略を左右する重要なものと認識されるようになった。学者なんかも集める必要が出てきた。コンソーシアムを作った。AT&T、IMTとも話をして、最終的にIMTを中心に進めることにした。

今W3Cはすごく面白いことを行なっている。オープンなプラットフォームはもはや、ドキュメントを単に共有するものではなくなったのだ。Web自体がプログラムであり、Web自体が大きなコンピュータになったのだ。

Webアプリこそが未来だと思う。W3Cは多くのWGを持っていて、ロケーション系、データのローカルストレージだとか、ネイティブでできることが、どんどんWebでできるようになった。

今、私は何に期待しているか。データのパワーだ。これは、20年前から辛いと思っていた。ドキュメントがネット上にいっぱいあったけど、データのリンクができい。グラフひとつとっても、他のグラフを持ってきて、自分の作った情報とマージさせるのが大変だった。データ同士がうまく連携できないのだ。

データがパワーを持つ。これは、オープンデータという形でプッシュしていきたい。イギリスであるプロジェクトがあって、そこでは地方自治体があつまって、データをオンライン化しようとムーブメントがおこっている。イギリスは一番はじめにこういう取り組みを行った国。しかし、イギリスはまだまだだ。郵便番号がまだ使い勝手が良くない。

日本のみなさんは、政府の方で是非プッシュして、政府の方にデータをオープンにしてもらえるよう、進めていければと思う。オープンWeb、データ技術を、オープンプラットフォームを使って頂きたい。


ただ、その前提として、TCP/IPの上にあって、Wifiの上にあって、レイヤーを理解して頂きたい。みなさんは、上のレイヤーに対して関心が有ると思う。しかし、下の方のレイヤーにも関心を持つべきだ。なぜなら、下のレイヤーもオープンであるべきだからだ。下のレイヤーも常に、中立であるべきだ。

ネットが中立と言われている国は素晴らしい。多くは宗教など、何かしらの差別問題を抱えている。これは良くない。だからこそ、中立であることは素晴らしいこととなんだと思う。だからこそ、オープンであることを求めて欲しい。

こんな事件があった。アメリカの政府が、かなりのスパイをしている。インターネットを通じて、人々のかなりの情報を取得しているという。それは下のレイヤーから得られたのであろう。それぞれのレイヤーを使う時、すべてがオープンであるべきだ。でないとこういうことになってしまう。

村井:
Webの歴史を手短に語って頂きました。また、あなたの生い立ちについても、語って頂くことができました。その中で、WebApp、ネイティブAppの話がありました。様々なタイプのアプリケーションがあって、サイロ化している気がしています。Webプラットフォームは共通のものです。利用者から見ると、ネイティブアップを好む傾向があります。エンジニアの立場から見てどう思いますか。

ティム:
iOSのための開発をすると、同じようなツールを使うことになる。90年の頃に使っていた、同じツールを使うことになるんだ。デベロッパーの方は、出来る限り簡単に作れるようにということを努力していると思う。

あるものに関しては、スピードが必要となる。ネイティブをつかうか、Webを使うかでスピードが違うかもしれない。このケースで、スピードをもたらすことができるのではないだろうか。

オープンであることで、メリットが得られるかもしれない。ローカルストレージもつかえる、ロケーションお使える。今後は、Webアップの方に進むと思う。多くのスペック(※W3Cが公開している標準化ドキュメント)もコンソーシアムから出てきている。もし不足しているのであれば、コンソーシアムへ指摘して頂きたい。そうすれば、将来的には、JavaScriptであっても、ネイティブより上を行き、Webがネイティブを置き換えることになると思う。

村井:
標準化ということで、W3Cは今、そういう意味では、標準化を行なっていますよね。オープンデベロップメントというのが重要で、Webプラットフォームとしての、例えば、大画面・中画面・少画面にかぎらず全部、どんなハードウェアであっても、Webに関わっていけます。

W3Cとして、積極的にこのあたりについて標準化を行なっているということですが、お聞きできないでしょうか。

ティム:
なぜAPIに着目しているかというと、プラットフォームが安定、すなわち静的であり続けることができるからだ。JavaScriptのプログラマに、コーディングのスタイルを、よりナチュラルな形にしていきたい。

W3Cについて、Webの可能性を限界にまで引き延ばそうというのが我々の取り組みだ。そして・・・

( -- 聞き取れませんでしたm(_ _)m -- )

村井:
オープンデータについて語られていましたが、日本の場合、オープンデータは少し遅れているように思えます。私の場合、国のオープンデータ制作を色々やっていると、それがよく理解できる。

オープンデータ自体はわかります。ただ、私はこう聞かれることがある「オープンデータとインターネットとWebアーキテクチャをどう理解すべきか」あなたなら、どう答えますか?

ティム:
ワールドドキュメント。すごく大きなデータというのは存在する。個人の診療データなど。あと、為替の情報とか、円とドル、色んな数字があると思うけど、重要なのはほんの一部の小さなデータだ。

データが繋がるのは色々ある。例えばソーシャルウェブなどもそうだ。ただ、ある意味、これは一般化はできないと思うんだ。あんまりジェネラルな、一括りにはしたくない。

だからこういう時、私は5スターモデルというのを使うようにしている。

1スター:それはそこに置いてある、ただの紙に書かれているドキュメントだ。薄い本もあれば、分厚い本もある。それらはどれも同じくこれになる。

2スター:

( -- 聞き取れませんでしたm(_ _)m -- )

5スターデータ:
ライセンスもついている。政治も絡むから色々難しいところですが、5スターは、リンクもしている。東京にいるということは、・・・
5スターデータまで行けば、・・・

( -- 聞き取れませんでしたm(_ _)m -- )

村井:
本当に素晴らしいことですね。私は、政府のしごともしてきました。こういった理想的なデータの形をつくっていけたら素晴らしい。データがオープンになれば、先ほど自然災害のことをおっしゃっていましたが、私たちは沢山の経験を、インターネットに関して言えば行なってきた。世界中から様々な支援を頂けました。

ただ、皆が、情報を欲していました。欲していたのに、情報を得ることができませんでした。また、オリンピックのWebサイトに関わっていた。世界中に見られるので大切なものでした。

Webアクセシビリティについて、あなたはどう思いますか?

技術的には、ドキュメンテーションシステムを統合すべきだ。どこの企業にも偏るのでなく、ユニバーサルに、どんなOSであっても、どんなプラットフォームであっても、どんなデバイスでなくてはいけない。アクセシブルでなくてはいけないのだ。色んな障害があるとはおもうが、それでも、データにアクセスできなくてはいけない。アクセシビリティは、大きな可能性を引き出してくれる。

これに関して、私は「文句をどんどん言って下さい」と皆に働きかけた。良くするために必要だからだ。会社によっては、資金を出してWebアクセシビリティに取り組んでいるものもいる。

メリットは、アクセシビリティを確保すると、デバイスから独立した形にすることができる。昔は、800pxのコンピュータしか、インターネットコンテンツを扱えなかった。Webサイトは800x600しか受け付けることができなかったのだ。

しかし、これはおおきな間違いだった。その後、色んなデバイスが出て来た。400pxのものだってある。デバイスからの独立性がいかに大事かということがわかったかと思います。この時計のような小さなデバイスでも、HTML5を動かせるプラットフォームが出てくるかもしれない。デバイスからの独立性、これがHTML5にとってすごく大切なことだ。


村井:
アクセシビリティというのは、W3Cの中でも重要な施策として理解しています。ただ、ここはInteropなのだ。近隣諸国からも来ている方もいる。だからこそ、聞きたい。

この国、また我々を地域性を含で、なにかアドバイス・メッセージはありますでしょうか?


ティム:
まず、グローバルワールドだから、ボーダーゼロだから、国境は無いから、みんな参加すべきだ。これは前提だ。ただ、地域問題はあると思う。日本の政府があまりにもWebアクセシビリティをプッシュしていないのであれば、それも問題と言えるだろう。アメリカの場合、逆にアクセシビリティが法的に担保されて無くてはいけないこともある。

私は恵まれている、私は英語をしゃべる人間だから。マイノリティではない。英語以外を喋る人。マイノリティ言語。例えばインド、あそこには色々な言語があるんだが、そういう場所では、自言語のWebコンテンツが揃っていない。そうなれば、自分たちの文化を、Webで発信していくことが責任なのかもしれない。

自分の言語が、Wikipediaに入っているのかという問題だってある。自分のカルチャーを発信していくことは大事。もっとちいさなコミュニティ、例えば、ダンスが好きだ、花が好きだ、それもコミュニティ。多様性はキープすべき。だからこそ、発信していく責任がある。それを、英語というインタフエースを使って、相互運用性を保つこともできるかもしれないけど・・・

村井:
っと、時間切れのようです。最後にみなさん、感謝の拍手を送ってほしい。

このブログの筆者について

川田 寛

コンテンツサービスの開発や運営代行を専門とする集団「株式会社ブートストラップ」の社長です。ネットではふろしきと呼ばれています。

2009年にNTTグループへ新卒入社し、ITエンジニアとしてクラウド技術・Web技術の研究開発と技術コンサルティングに従事。2015年よりピクシブに入社し、エンジニアリングマネージャー・事業責任者・執行役員CCOなど、様々な立場からコンテンツサービスの事業づくりに関わりました。2021年にメディアドゥへVPoEとしてジョインし出版関係の事業に関わったのち、2023年に独立しています。

関わってきたインターネット事業としては、ECサービスのBOOTH、UGCプラットフォームのpixiv(主に海外展開)、制作ツールのpixiv Sketch、VR・VTuber関連ではVRoid、Wikiサービスのピクシブ百科事典など、10を超える多様なCtoCコンテンツサービス。また、NTTドコモのすご得コンテンツ、メディアドゥのWeb3サービスであるFanTopなど、いくつかのBtoCコンテンツサービスにも関わってきました。

幸運なことに、私はコンテンツに関係する幅広いインターネットサービスのテクノロジー&ビジネスの知識を得ることができました。これを日本のコンテンツ発展に役立てたいと思い、株式会社ブートストラップを創業しました。

このブログでは現在、出版社やIPホルダー、ライセンサーといったコンテンツに関わる人々に向けて、インターネット事業に関するTipsや業界内のトレンドなどの情報を発信しています。私と話をしてみたいという方は、以下のフォームより気軽にご連絡ください。

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